うちの委員長は少々おかしい

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  「それじゃあ青木さん、この問題を解いてみて」 噂をすれば何とやら。 我がクラスの委員長、青木明日香(あおき あすか)さんが先生からご指名を受けた。 「はい」 ひどく無機質な返事が教室に響く。 委員長は静かに立ち上がると、教壇に上がってチョークを手に取った。 「うーん……」 黒板の上の方に書かれた数式は、人より身長の低い彼女には少し厳しいか。背伸びをして、腕を思いっきり伸ばして、なんとか解答を綴っていく。 うしろに座っている人たちには、ちょっと見えないんじゃないかというぐらいの小さな文字で。 「ふう」 解答を書き終え、彼女はチョークを置いてほっと息をついた。 「……はい、よくできました。正解です」 答えを確認した先生は、教科書を叩いて委員長に拍手を送った。 「少し難しめの問題だと思ったのですが、簡単に解いてしまいましたね。予習でもしてきたんですか?」 「いいえ。アシュレイ星人が答えを教えてくれました」 ズルッ。 そういう音が聞こえてきそうなほどに、先生の眼鏡が盛大に鼻筋を滑った。
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