うちの委員長は少々おかしい

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  「そ、そうですか……」 眼鏡を直しながら先生は苦笑い。 またかとでもいうようにクラスのみんなも苦笑い。 唯一僕だけが真顔で解答を写していた。 「ま、まあ、正解は正解ですからね。もう戻っていいですよ」 「はい」 問題を正確に解けても、委員長は表情ひとつ変えなかった。 教壇に上がる時と同じ歩調で自分の席に戻ってくると、僕に向って一言。 「アシュレイ星人、本当にいるのにね?」 「僕に訊かれても困るんだけど……」 僕は無表情な彼女の瞳を見つめ返した。 「そう」 どうやら答えを期待して訊いたのではないらしい。 さっさと自分の席につき、前を向いてしまった。 それと同時に授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。 「じゃ、今日の授業はここまで。青木さん、挨拶よろしく」 先生はパタンと教科書を閉じた。 「起立、礼。Fly away」 抑揚のない声が響く。 彼女は一体どこに飛んでいくのだろう。
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