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今日の授業がすべて終了し、放課後になった。
部活に向かう者、帰宅する者、自習をする者。
放課後の教室は散漫としている。
「さて…」
今日の俺の放課後の過ごし方は昼に先輩と約束した街を回ることだ。
先輩は俺の脇に楽しそうに浮いている。
玄関でクラスメイトと軽く言葉を交わして俺は街へ向かう。
「全然変わってないね~♪」
「そりゃ一日で変わるわけ無いですよ。」
「あは♪そうだよねー」
俺と一緒に街中を見て回っている先輩はかなり上機嫌だ。
幽霊だから街をただ見ることしかできないのだが、先輩はそれでも楽しそうだ。
「あ、ここ…よく友達と来てたな~」
「このお店のクレープとっても美味しかったっけ」
思い出の場所をあちこち回っているうちにだんだんと日が暮れてきた。時計を見るともうすぐ七時だ。
「そろそろ帰りませんか?」
「それじゃあ最後に行きたい場所があるんだけど…」
「いいですよ。どこですか?」
「こっち♪」
俺は先輩の案内で少し小高い公園に向かった。
「きれいでしょ~♪」
「えぇ…」
先輩の案内で向かった公園は街を見渡せる場所だった。街の明かりがとても綺麗だ。
「こんなところがあったんだ…」
俺は感動のあまり街の風景から目を離せなかった。
「ここはね、私だけが知っている秘密の場所なんだ。そして、私が好きな人にだけ教える大切な場所…」
「え…?」
俺が先輩の方を向いた瞬間、
Chu!!
先輩が俺にキスをした。
「純也君…ずっと好きだった…」
「え…それじゃあ…未練ってのは…」
「そう…貴方に私の気持ちを伝えたかった…」
先輩の体が徐々に消えかかっている。
「そっか…想いを伝えたから…もう此処にはいられなくなるんだ…」
「先輩…」
俺は無我夢中で先輩を抱き締めた。
「今日は…貴方といられて本当に楽しかった…純也君…大好きだよ…」
「…先輩…ずるいですよ…今更そんなこと言って…」
「え…?」
「なんで…何でもっと早く…生きているうちに言ってくれなかったんですか!?俺だって…俺だって…先輩が好きだったんですよ!?」
「え…」
先輩の目から涙が溢れだした。
「そうだったんだ…私って馬鹿だな…勝手にふられるって思い込んで…」
「先輩…」
先輩の体はもう半分以上が光になっている。
「純也君…ありがとう…。最後に…最高の思い出ができたよ…」
「うぅ…」
先輩は俺に再びキスをした。
「純也君…さようなら…ずっと…大好きだよ……」
フッ…
「先輩…?先輩ー――――ッ!!」
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