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「何で泣いてるかは聞かないよ。 ただ泣きたいなら好きなだけ泣けばいい。 気の済むまで泣けばいいよ。 そしたらさ…? 泣きやんだらさ…? それ以上に笑ってよ。 眩しいくらい笑ってよ。 俺に…大好きな桜の笑顔を見せてよ。」 俺の言葉を聞いた桜は声を上げて泣いた。 今まで押し殺してきた感情が止まらなくなったかのように。 俺はそんな桜をずっと抱きしめていた。 何故泣いたのかは全くわからない。 こんなに取り乱すのは何故なの? 俺にはわからないよ… ただ… 泣いている桜を離したくないと思った。 愛おしいとも思った。 出会ってからなんてまだ数日しか経ってないのに。 俺は初めて女性を好きになった。 俺は初めて恋をした。 だんだんと桜の泣き方が落ち着いてきたのがわかった。 俺は頭を撫でていた右手を止めて桜を少し離してみた。 「大丈夫…?」 俺は今どんな表情なのかな…? まだ涙で一杯の瞳は、今にも崩れそうで弱かった。 俺は今優しく笑いかけれてますか? 「ばかぁ!!」 桜は一瞬顔が赤くなったかと思うと俺の胸元に帰ってきた。 ばかって何なんだよ… 心配してるのに。 「ばかって言うなよ。 これでもけっこう心配してるんだよ…?」 「……知ってる。」 「桜は笑ってた方が可愛いんだよ?」 「……知ってる。」 「……俺は桜のことが大好きなんだよ…?」
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