1人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「翼はいつ頃退院できるの?」
桜はまだ俺に抱きついて顔を見せようとしない。
俺が大好きって言ったことには振れてくれなかったしね。
「退院は…わからないよ。
俺にもっと度胸があったら早く退院できるのかもしれないけどさ。」
手術を先延ばしにしていることを素直に話した。
あまり重い病気じゃないってことも言った。
「治るんなら…早く元気になった方がいいよ。」
「……うん。」
「私はね…翼が羨ましい。
翼には夢があるじゃない?
それに向かって頑張ってるじゃない?
私にはそれができないから。」
出来ないって何だよ。
何で出来ないんだよ。
俺は不安でしょうがなかった。
だってさ?
そんな言い方じゃ桜の病気治らないみたいじゃん…
「だからさ?
まだまだ可能性がある翼が羨ましい。
これから芸能人になる翼が羨ましい。
………私はね…
…………長くてもあと1年しかないの。」
最初のコメントを投稿しよう!