2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
チャイムの音に現実に引き戻された。
手元のノートは随分前に時間は止まっていたらしい。
あわてて黒板に視線を写すも、日直の女子が既に黒板消しを片手に持っていて
止めるのもなんだか煩わしいからそのまま持っていたシャーペンを机に転がした。
あとで、智恵にでも見せてもらえばいいか。
「ねえ! 俊!」
少し離れた席から聞こえた俺を呼ぶ声。
俊というのは俺の名だ。
一ノ瀬俊(イチノセ シュン)。それが俺の名前。
「俊は夏休み暇?」
「特に予定はないけど」
姫の声に顔を上げればいつの間にかいつものメンバーがそろっていた。
……そういえば今日は夏休み前最後の授業の日だったんだ。
「さっき和樹と夏休み皆でどっか行かないかって話してたんだ」
「いいんじゃないか?」
俺の前の席の椅子にすわり姫こと浅井姫香(アサイ ヒメカ)がキラキラした目でこっちを見て、
俺の返答に本当?と嬉しそうな声を上げ皆はどう?とほかの二人にも視線を向けた。
「うん、行く行く!」
「僕も賛成!」
深山智恵(ミヤマ チエ)がうれしそうに頷き、
佐伯稜(サエキ リョウ)もそれに同意した。
「んじゃ、決定な!」
この旅行を提案した関和樹(セキ カズキ)が満足そうに頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!