始まり。

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「じゃあ、どこいこっか?」 場所を移し学校の近くのハンバーガー屋で、 俺や姫、和樹は携帯のスケジュール欄を、智恵や稜は手帳を出して、 昼飯をとりつつ話し合いを始めた。 「私北海道行きたいー!」 「はあ? 夏と言ったら沖縄で海水浴だろ!」 「絶対北海道がいい!」 「沖縄だって言ってんだろ!」 「……あーあ、また始まっちゃったよ」 「まあ、いつものことだけどね」 言い合いを始めた姫と和樹に知恵と稜が呆れたようにつぶやいた。 っていうか俺らそんな金ねぇし。 残っていたコーラを啜りながら、二人の討論を見ていたが一向に止む気配がない。 「だから! 北海道って言ってるじゃん!」 「沖縄だって言ってるだろ!」 「なによ!」 「なんだよ!」 「ストーーップ」 だんだんヒートアップしていく二人を引き離した。 全く、いつもいつもよくこんなに喧嘩できるな。 「あ、俊! 俊も北海道がいいよね?」 「断然沖縄だよな!」 「はぁ、北海道だとか沖縄だとか、大体俺らそんなに金もってねぇだろ」 「「あ……」」 そういえば。と呟く二人に思わずため息が出た。 「和樹さっき金ないって三つ目買うの諦めてたくせに~」 「うるせーな稜。忘れてたんだよ!」 ふんっ。とそっぽを向く和樹に智恵はくすくすと笑い。 「お金のことも考えないといけないし、近場でみんなが楽しめるところにしようよ。ね?」 「「そうだね(な)」」 まったく一緒に行った二人に稜が壮大に噴き出した。 それにつられて智恵も俺も、和樹も姫も笑い出す。 しばらくその一角には俺ら五人の笑い声が響いた。
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