始まり。

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「ね、ディズニーランドは?」 皆の笑いが止まったころ、姫が言い出した。 「いいじゃん、ディズニー。あそこまでなら電車で一時間くらいでいけるし」 「でしょでしょ? パパのお友達の会社がスポンサーだったはずだから、たぶん頼めばチケット取ってもらえるし!」 「うん、私も賛成。皆で行けば絶対楽しいよ」 「僕もいいよ」 四人の視線が俺に向いた。 「いいんじゃないか?」 昼間と同じ言葉で同意を示せば姫が嬉しそうに笑いじゃあ決定ね! と笑った。 「いつにする?」 「お盆休みは混んでるからなぁ」 「そうだよねー」 皆のあいてる日を書き出したメモを見ながら姫がんー。と唸る。 どうせなら何日か遊びたいというのが本心なんだろう。 「あ、ここならみんな開いてるよ」 そう言って姫が指したのは、7月最後の二日間。 つまりは30日と31日。 「平日だしいいかもね」 「でも夏休みって混んでそうだな」 「そんなのどこ行っても一緒でしょ。ね、俊はどう思う?」 唐突に話をふられそうだな。と考える。 「まあ、姫の言うとおりだし、平日の方が空いてるんじゃないか?」 「俊がそういうなら」 「じゃあこの日でいい?」 全員がうなずくのを確認してけってーい。と姫がメモの日付に赤ペンでハートを書いた。 各々携帯のスケジュールや手帳に書き込んでいく。 「オープンは九時だから七時半に駅集合ね!」 「ああ」 明日終業式だし、終わったら買い物行こう。と話している姫と智恵の会話を聞きつつ、空を見上げた。 当日ちゃんと晴れてくれよ。
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