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「トイロ~!今年ももうすぐ祭りがあるらしいからさ、一緒にいかね?」
「…………」
……毎回毎回面倒臭い奴。
はぁと溜め息を吐いて、声のする方へ振り向くと、そこにはやはり、楽しそうなフウリ――黒沢風流がこちらを見下ろしていた。
明るい長めの髪に、猫のように大きく蒼い瞳。
身長は低く、立って並ぶとあたしの目線辺りに頭がくるほど。
まぁ、あたしは170以上あるから女としてはデカイ方だが、フウリは他の男子と比べて頭一個分は小さい。
そのため、よくからかわれているのだが、何故か女子からの人気は高い。
クォーターで、整った顔立ちをしているからか?
あたしは見慣れ過ぎているからか、何とも思わないが。
「なぁ~トイロってばぁ~」
そんなことを言いながら、あたしの肩を揺するフウリ。
あぁ~鬱陶しい。
コンクリの海に沈めてやろうか、このチビ。
「行くんだろ~?行かねぇの~!?行くだろ!?よしっ、決まりだな!」
「勝手に決めるなドチビ!!」
ゴスッ!とフウリの首根っこに肘打ちを食らわせる。
「おうぅっ!」
とか言いながら、その場に崩れるように這いつくばるフウリ。
へっ、ザマーミロ。
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