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「それより、トイロとフウリは何でケンカしてるの?」
ふと、そんなことを訊かれたので、あたしは対応に困った。
「だからケンカしてるワケじゃないって。いつもみたくフウリがアホなことばっか言うからさ、その報い」
「いやいやいやいやっ!俺は祭りに誘っただけじゃんよ!?何がアホなの!?何がいけないのッッ!?」
「お前自体が駄目」
「俺の存在をまるごと否定すんな」
フウリの言葉を無視して、ふぅと息を吐く。
「…毎年言ってるだろ。あたしは忙しいんだ。祭りになんか行ってる暇ないんだって」
あたしの言葉に、フウリはうっ…と黙り込む。
――フウリとは中学からの付き合いなので、家庭の状況は少しなら知っている。
…とは言っても、父親が働く意欲のないだらしない男だという愚痴を溢しただけだが。
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