あの坂をのぼって

男運がないんです

　
私は現在、建材会社の企画課で仕事をしている。
高山課長を頭に男４人と私と智音の事務二人。
東地区と西地区の２チームに別れて展示会や説明会等を開催していて、私は東地区担当だ。
会場の予約から建材サンプルの手配まで、なんでも行っている。

「岡野さん、今日のミニ展示会は受付係りとかじゃなくてよかったねー。その顔じゃヤバ過ぎる」

智音の隣の席の和田さんがおはようも言わずに笑いながら悪口を言う。

「和田さんひどーい」

智音まで笑いながら言う。

「二人とも大きなお世話だーっ！てか年中酒飲み過ぎでむくんでる和田さんには言われたくないしっ」

「ひでーっ」

あははははと３人で笑う。

「まあでも、マジな話し、新外壁の説明で絶対客掴むって宮瀬達張り切ってたからな。上手く行くといいね」

和田はそう言って優しく微笑むと、切れ長の目が更に細くなった。
私的には失恋のショックで展示会の成功なんか半分どうでもよかったんだけど。