男運がないんです

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  「おはよう、なつめ…って! うわ! そのパンパンな顔どうしたの!?」 前の席に座る同い年の相田智音(あいだともね)がパソコンの間から顔を覗かせながら言った。 「おはよ。昨日の夜、『蛍の墓』見ちゃって。涙が止まらないのなんの。えへへ」 もちろん、そんなもん見てる訳ない。本当はね、本当はね…… 「私達の島(デスク)から少し離れた前方に座わり、新聞を読みながらコーヒーを飲んでる、高山課長に捨てられたの!!(by心の声)」 ふーーーっとため息を一つつく。 いつか終わる恋だと解って付き合っていたけど、あまりに唐突で。 しかも奥様の妊娠と言う理由をさらりと言えちゃう配慮のなさに、悔しいやら悲しいやら。 なんでこんな男を好きだったんだろう。 私は昔から男運が全くといっていいほどない。
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