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そして、ついに約束の日がやってきた。
シゲじいは約束通りアタシの背中にタトゥーを彫ってくれた。
「好きなデザインを選びなさい」というシゲじいに対して、アタシは「シゲじいがアタシにぴったりなデザインを選んで」と言った。
アタシはこれまで人からきちんとしたプレゼントを貰ったことがなかった。
だからどんなものであっても、アタシの大切な人が選んでくれたプレゼントを貰いたかったのだ。
そんなアタシのわがままをシゲじいは快く聞いてくれた。
シゲじいが選んでくれたタトゥーは〝シンデレラ〟をモチーフにしたかぼちゃの馬車とガラスの靴が重なり合ったかわいいタトゥーだった。
「お前は苦労して生きてきたんだから、将来絶対幸せになる。王子様が間違えないように、〝シンデレラ〟のマークを付けておかないとな!」
そう言ってにっこりと笑ったシゲじいを見て、アタシの眼からは涙が溢れ出していた。
この時のアタシは知る由もなかったが、このシゲじいからの素敵なプレゼントがやがてアタシの人生に本物の魔法をかけてくれたように輝く時がくるのだった……。
【続く】
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