STAGE.1

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基地内、廊下―   「なぁなぁ、リズ。辞令書見せてくれよ」   黒髪の青年―ユウガ―が藤色の髪の青年―リゼル―の肩に手を掛けて言った   「その件は後にして下さい。準備が先です」   ユウガの手を払い、リゼルが溜息混じりに言った   「何だよ釣れねぇなぁ。そういうの流行んな…」   ユウガが言い終わる寸前で―       ガスッ!   「い゙!?」   リゼルの手刀がユウガの額にヒットした   「その飽き飽きする口癖は治しなさいと言ってるでしょう。本当に眉間を狙いますよ?」   「……っ…くぁぁぁ…!」   「…はぁ。ホントに懲りませんねぇ、ユウガさん」   頭を押さえて蹲るユウガの肩に手を置き、水色の髪の少女―カグラ―が慰めるように言った   「懲りるも何も無いだろうよ!?口癖にツッコむってどうなの!?別に減るもんじゃ無…」       ゴリッ   「い゙ぃぃぃぃだだだだだだだ!?す、擦れる!擦れるぅ!?」   「その口癖が飽き飽きだと言ってるんですよ!そろそろ他のバリエーションを考えなさい!」   ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ   蹲っていたユウガの頭を踵で踏み付け、床に押しつける   「むむむむむむ、無茶苦茶言うなぁぁぁ!!」   「…はぁ。…全くもう」   そんな惨劇を見ていたカグラが小さく呟き―   「…リズさん」   リゼルを呼ぶ声と同時に―     コツンッ   「くぁっ!?」   カグラは膝の裏を軽く蹴り、リゼルはその場に倒れ込んだ   「さ、漫才はその辺にして、早く戻りますよ、二人共」   そう言って、カグラは足を進め―   「……仕方ありません。カグラに免じて、今回はもう止めておきましょう」   リゼルは小さく呟いて歩きだし―   「…助かったぁ」   額を擦りながら、ユウガは安堵の溜息を吐いた              
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