第一章

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
俺はベッドの上で寝転がりながら携帯をいじっていた。 携帯の充電が切れそうだったので、充電しながら使用していた。 ベッドの近くにあるコンセントは足の方にある。 腕が疲れてきた俺は、何気なく天井に向け腕を伸ばす。 いつも問題なく行なわれる行為。 しかしその日は違った。 途中で携帯が引っ張られるような感触! 『ヤバイ!コードが何かに引っ掛かった!』 そう思ったが勢いのついた腕は止まらない。 無情にも手から離れる携帯。 しかし、携帯はだんだん俺に近付いてくる。 そう顔面に! 脳裏に走馬灯の様に過去の思い出が蘇る……ことはさすがになかった。 ゆっくりと墜ちてくる携帯。 『あれ?この速度なら痛くないんじゃね?』 ゴツン!! 携帯は前歯に命中した。 見事に期待は裏切られた。 ゆっくり感じたのはただの錯覚。 『前歯おれた!?』 慌てて手で触れ、前歯が無事であることを確認。 安堵した瞬間、激痛。 痛みで涙が滲む。 少しすると痛みはひいた。 いっそ誰かに見られていて、笑われたほうが気が楽だったかもしれない。 わざわざ他人に話しても恥をかくだけ。 俺は何事もなかったかの様に、再び携帯を手にとった。 なんだか空しくなった。 そして涙がでた……。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!