別れの言葉は君の名を一人呟いた後に

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もう…行くんだね この街に僕 置いて行く君 一人…未来に 向かう君 見送るだけの僕 「寂しい?」と 僕の手を 掴んだ君の手は 震えていた 寂しいとかえせば 君は行かないの? 声に出せず僕は その手を握り返す 今だけはまだ この手を離さず 君への愛も離さない… 離したくない ああ…近づくよ 君だけ乗せ 走る電車が 駅の改札で 最後の言葉 交わされる 「さよなら愛していた」 笑顔見せて君は …背中向けた 閉じたドアの向こう 手を振る君に どんな顔をして 僕は見送ったんだろう? ただもうこれで 君を失うんだと その事実だけが 僕の胸…締め付けてた 君の最後の笑顔 僕を突き刺す 残された ホームの端 涙がただ 溢れた… 桜舞う小路も 夏日を映す水面も 全てが君とだから 美しく見えた 秋に暮れる夕日も 白く染まる街も 君とは見れない それがただ悲しくて 君の名を もう一度 呼んだ後 呟いた さようなら… 愛してた
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