墜心

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あるときから彼は他人の事を幸せにすることが出来なくなった。ほんの些細な事が彼を変えてしまった。彼は自分が今までしてきた事に疑問を感じていた。自分自身の人生に…。 やがて他人を幸せにすることに対して自分は偽善者ではないのかと疑い始めた。 自分自身を否定…今まで自分がしてきた事も。 彼は迷った。迷いに迷ってわからなくなっていた。自分が何をしたいか、自分がなんのために生きてきたのか、彼は生きる意味さえわからなかった。いや、最初から生きる意味などわからなかったのだろう。彼は自分で思い込んだ行動が自分のためだと信じてしまっていた。だが、今の彼には何をしても満たされない。何を想っても満たされない。
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