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彼は「何か」に捉われてしまった。他人、ましてや自分さえも否定し始めたのだ。
「この世界はつまらない・・」彼が何気なく発した言葉。世界が、いや、自分が住む世界に失望したのだ。彼はその事を考えながら流れゆく時を過ごした。時間は流れていく・・・だが彼には明確な答えはでなかった。今まで歩んできたこの世界・・彼には歪んだ形でしか見えなかった。彼は言う。「この世界は悲劇なのか・・?」
「これが悲劇ならあなたはどうする?」彼の耳にか弱く少女なような声が入る。彼はその声の持ち主を探すことなく言った。
「この世界が悲劇なら僕は消える。」間もなく「その覚悟があなたにある?」と少女らしい声の持ち主は言う。彼は黙りうつむく。そう彼はまだ未来を見ていたかった。僅かながら存在していてほしいと願う自分の未来を。
「あなたにその覚悟があるなら私を探して」と少女らしい声は発する。「それは何を意味する?」と彼は問う。「それは私を探したらわかる」と返す。彼はうつむいたまま考える。
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