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「つまり要約すると、今回は眞子と沙奈ちゃんに任せて、僕と時雨と由貴は町に出て他の依頼を探すって事だね?」
「ま、そういうことだ。いつでも眞子達の手伝いができるようにすぐに終わらせる事ができる依頼に絞って、だけどな」
「ありかとうございます、しぐちゃん。私もみなさんの力が必要になったらすぐに連絡しますから」
眞子は嬉しそうに微笑み依頼主の元へ移動した。沙奈とはこのあとに待ち合わせでもしているのであろう。
「それじゃあ、僕達も行こうよ時雨」
「そうだな」
由貴に言われ、俺達は荷物をまとめ町に向かう事にした。
俺達は今、人通りの比較的少ない裏道を通っている。普通は遠回りになるからあまり使わないのだが、人がいるとあまり会話ができないヒナギクのために自然とこの道を通る事が暗黙の了解になっていた。
「やれやれ、これで好きなだけ話せるわ」
ある程度人が少なくなってきたのを見計らって、ヒナギクがヒョコッと胸ポケットから顔を出す。
「嘘つけ、お前は授業中でもペラペラ喋ってんだろうが!」
そう、こいつは周りの席の奴が使う高性能の携帯や電子辞書などを見ては俺の服を引っ張りながら目を輝かせて騒ぎ、俺がたまに授業中にやるゲームの戦闘シーンを見ては、
「いけ、そこじゃ! あーもう、何をやっておるか時雨! われにさせてみい!!」
などと俺以上にムキになったりと、とにかくやかましいのである。指で吹っ飛ばして机から落としてもすぐに復活しては殴ってくるのでどうしようもないのである。
「われは別に騒ぎたいわけではない、会話がしたいのじゃ」
もっともらしいことを言っているが、授業中に好きなだけ騒いでは疲れて机の上に丸まって寝るということを繰り返している奴に言われても全く説得力がない。
「ふん、まあよい。ところで、今から何処に向かう気じゃ?」
「あ、僕に提案があるんだけど」
桜が待ってましたとばかりに口を出す。
「お昼まだでしょ、取り敢えずヤックに行こうよ、ゆっくり話しもできるし」
「うん、いいね、ここからならヤクドナルドも近いし、ボクもお腹空いちゃった」
桜の提案が気に入ったのか、由貴は弾ける笑顔で頷いた。
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