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第二章:難癖王子の出現
足が吊りそうな感覚に耐えながら悶えた事、数分。
門の番人兼、教師の瀬戸ノ宮先生(セトノミヤ)は残り三分前だけあって、不愉快のオーラを出しながら木刀を持っている。
青のジャージ姿に赤い長髪を一纏めにして、似合ってもいない黒ぶちの眼鏡を装備していた宮先生を俺は軽い挨拶だけで門を抜けた。実際、暴力行使はしない木刀は威嚇を含めてあり、学園からは許可が下りている。
透き通るような綺麗な茶色の瞳が、いきなり変化した恐ろしい眼光になって、もしも睨まれたら失神すること間違いなし。
故にスルーをして、早いこと楽になるのが賢い生き方だ。
遅刻した生徒の末路は……くわばら、くわばら。
「さてと……行きますか」
「ちょい待ち」
「はぁああいいい!!」
襟の先を摘ままれて、宮先生に呼び止められた俺は悲鳴に近い声で返してしまう。
そんな俺を周りの奴等は慈悲の視線で見てくるが、そんなの慰めにもならない。
「最近、お前のクラスで虐めがあるらしいのだが、何か知らないか?」
ぶるぶるっと子羊のように震えていた体は未だに治まらず、首を横に振って知らないとアピールした。
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