悪夢

好

下校中。

孝志「……どうした？ 俺の顔に何かついてるのか？」

亮「えっ!? いや……傷だらけだけど……？」

孝志「……集団でやられたからな」

亮「どうして絡まれたの？」

孝志「俺の全てがムカつくらしい」

亮「……そんな……ひどい……」

孝志「気にするなよ。いつもの事だし、幸い大怪我もしてない。……でも、アイツらには、させちまったかもな」

亮「孝志は強いね」

孝志「ん？ そうでもないだろ。強かったら、こんな怪我しない」

亮「ううん、違うよ。強いって言ったのは、孝志の心の事」

孝志「……心、か……」

亮「……孝志が羨ましいよ……。僕は何もかも弱い……ずっと昔から……」

孝志「…………」

亮「それと、ごめん。春花ちゃんに話しちゃった」

孝志「何を？」

亮「ゆ……」

孝志「……ゆ？」

亮「ゆ、夕暮れって好き!? ……って」

孝志「……嘘だろ、それは」

亮「う……でも、今朝の話を、春花ちゃんにしちゃったんだ……孝志にはしてないのに」

孝志「……謝る理由がそれか？ 別にそんな必要ないだろ」

亮「でもっ！ 孝志と春花ちゃんは幼なじみでっ！」

孝志「確かにそうだが、気を使う必要はないぞ。……亮が春花を好きな事ぐらい、とっくに気づいてる」

亮「えっ……孝志……は？」

孝志「……幼なじみ、ってだけだ」

亮「……でも、春花ちゃんは……」

孝志「ん？」

亮「いやっ、何でも！」

孝志「……そうか。じゃ、また明日な」

亮「うん……またね」