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『奏音』と言う名前はパパが、ママの奏でるバイオリンの音のように清らかに美しくなってほしいというところから来た。そして話はいつしかママの好きなところを永遠喋るオノロケに変わるのだ。
…だけど変わってしまった。
パパは仕事で大きなプロジェクトを任されてアメリカに単身赴任した。
ママはまたバイオリン奏者として活動するようになった。
今までずっと一緒だった2人が離れると、急に歯車は狂いだし、いつしか壊れてしまう。パパとママの歯車はすぐに壊れてしまった。
ママは地方公演でいない日が多かったから、ほとんど家では1人だった。朝食も夕食もいつも1人だった。
私のあたたかい家庭はこうして壊れた。それでも両親が離婚しないのは世間体なんだろう。
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