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高校二年生の夏・・・
「ありえなーい」
球場に一人の女子高生、立花(たちばな)夏美の悲鳴が響いていた。
歓声と悲鳴の混じっている異様な雰囲気の中、夏美は呆然とマウンドを一人見つめていた。
「ありえないよ・・・なんで・・・負けちゃったの」
夏美の通う、西海(にしうみ)高校は甲子園をかけた決勝戦まで登りつめていた。
野球の名門校と知られている西海高校は過去に幾度と甲子園に行っている。
だから、今年も有力校として注目を浴びていた。
無難なく順調勝ち進み決勝戦まで来ていたのだ。
多分、球場に応援しに来ていたほとんどの人達が西海高校の勝利を確信していたと思う。
夏美もその中の一人で絶対に勝つと信じて疑っていなかった。
なぜなら、西海高校の決勝戦の相手は川谷川(かわたにかわ)高校だったからだ。
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