第一部 高二の夏

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決勝戦まで進んできた川谷川高校は各新聞で驚きとともに大きく取り上げられた。 快進撃を続ける川谷川高校は一気に注目の的になっている。テレビや新聞の取材が殺到していた。 ただ、西海高校優勢の見方は変わらない。 そして、いざ試合が始まると西海高校が押していた。 三回の表で三塁に選手を置いた状態で次のバッターがヒットを打ち、先制の一点を西海高校は入れた。 もちろん西海高校の応援席からの歓声は凄まじいものがあった。 夏美も大きな声援を送っていた。 「さらに追加点が欲しいな、一点じゃ追いつかれるかもしれない」 しかし、その願いは届かず西海高校は追加点を入れる事が出来なかった。 それどころか五回の裏に川谷川高校に同点にされてしまった。 なんとなく嫌なムードが西海高校ナインを包みこんでいた。 それは三回の表に一点を入れてからは追加点を入れる事が出来ずにいた。 完全に川谷川高校の鮎原投手に抑え込まれていた。 三回以降に西海高校が打ったヒットは二本だけだった。 今は八回の表、西海高校の攻撃である。
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