第一部 高二の夏

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「なんか嫌な感じがする」 夏美の心の中でも不吉な予感がしていた。 明らかに西海高校の流れが良くない。 逆に川谷川高校は同点に追いついた瞬間の騒ぎようはすごかった。 しかし、その後は不気味なくらいの冷静さを保っていた。 淡々と試合をこなしているようだった。 感情を一切表には出さない。相手チームに悟られないようにしている。 そんな風に夏美の目には映っていた。 すべてはやはりあの鮎原投手の雰囲気がチームを引き締めているからだろう。 三年生からも信頼されているらしい。新聞に書いていた。 「二年生エースの鮎原って投手・・・あの子は危険よ」 夏美は一人分析し始めていた。
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