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さよならを聞いた季節
僕たちが別れた理由は、僕の一晩の過ちだった。
友人達と集まって飲みに行き、そこから次第に一人また一人と帰ってゆき、最後に僕と女の子だけが残る事になった。その女の子、有紀とは友人の友人という接点でその日が初対面だった。
帰ろうか、との僕の問いに有紀は、もう一軒付き合って貰えますか?と答えた。有紀は目が大きく、守りたくなる可愛さが溢れる女の子だった。そんな有紀の誘いに乗った時点から、僕の過ちと贖罪は始まったのかもしれない。
有紀は僕に彼女がいる事は知っていたので、その夜の事は一夜限りの接触事故だと僕は思っていたし、有紀もそうだと思っていた。
この自分勝手な思い込みが打ち砕かれたのは、朝目が覚めた時の有紀の一言だった。
「それで、彼女と別れてくれるんですよね。」
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