第二章◆『清龍』

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その頃、部屋の中では男子が一人、ビクビク怯えていた。 『清龍』について知っていたのだろう。 「俺は…俺は… 絶対に死なないぞ…」 ブツブツと呟いている。 その時。 コンコンコンッ… ベランダの方から僅かだが、ノック音が聞こえてきた。 男子は咄嗟に耳を塞いだ。 が、音はなりやまない。 それどころか、段々と音が大きく鳴っていく。 ドンドンドンッ…!! 「や、止めてくれ… 来るなっ!来るなっ!」 すると音がスッと止んだ。 少年は、ほっとして力が抜けた。 「はぁ……良かった…っ」 と言ったその時。 ガチャッ…… キー───ッ…… ベランダが開いた。 風が男子の頬を撫でる。  
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