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「だから、あんな謎な奴よりさ! 俺と恋愛」
「そこがまたミステリアスでいいんじゃない! 大輔はわかってないなー」
大輔の妙に力のこもった声を遮り、肩をすくめてみせた。まだ何か言ってたかな? めっちゃ落ち込んでるんだけど……ま、いっか。
話している内に、校門の目の前まで来ていた。
女子の群れの中にちらっとしか見えないけど、王海君、白いシャツが眩しいわ! 大輔も着てるけど。相変わらず、表情は無表情だな。
こんな人と恋が出来たら……なんて、あたしにはあり得ないか。
いいの。私は日々大好きな妄想に明け暮れて、いつか素敵な王子様が現れるのを夢見てるだけで楽しいんだから。
関わる事も、ないだろう。
そんな事を思いながら、王海君(の周りの女子)の横を通り過ぎようとした、その時。
「やだー王海君!」
女子の一人がはしゃいで飛び退き、ちょうどその子の後ろに居た私は驚いて避けられなかった。
「わっ!」
ぶつかった衝撃でバランスを崩し、前のめりに倒れそうになる。
「冴子!」
ドサッ。
大輔の声とほぼ同時位に、私の体は何かに受け止められた。
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