【始まりは王子様の帽子から】

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きゃあっと、女子達の叫びが響く。   私の体を支えてくれているのは、細いけど筋肉質な白い腕。両脇の下に通されているその腕の先を辿ると、至近距離に王子様の顔があった。   王海、くん!? うそー!   ぽーっと彼を見上げていた私は、はっと我に返り慌てて顔を背ける。   「あっありがとう! ごめんね、重いよね!」   は、初めて話しちゃった……。   僅かに浮いていた足を、急いで地面に降ろそうとした、が。そこにあった小石をつま先で踏み、足を滑らせた私は再び体を前に倒す。   「ひゃっ!」   私は上擦った声を出しながら、自然に前に出た両手で、こともあろうに。   「なっ!?」   目の前にある王海君の胸板を勢い良く押し、そのまま二人共地面に倒れた。   事実上、押し倒してしまったのだ。   王海君は仰向け、その体の上にうつ伏せで乗っている私。   女子の悲鳴はさっきよりも大きく、心なしか怒りがこもっているように聞こえる。   周囲に行き交う登校中の生徒達も、珍しい出来事に注目しているようだ。   せっかく助けてくれたのに、私のバカー!   「ごごごめんなさい! 王海君大丈……」   顔を上げた私は、言葉を失った。
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