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「い……ってー」
首を傾け、私に首筋を見せる形で顔を歪める王海君。
倒れた反動で彼の頭から脱げた帽子が、私達の傍らにひっそりと落ちている。
目を見開いて固まっている、私の視線の先は。少しだけ見えている王海君の後頭部。
短髪だけど、さらさらとした茶髪。その綺麗な茶色の中に、五百円玉大よりも大きな、髪の毛の生えてない、円が……?
ぶつけたのか、王海君は頭をさすろうとする。そしてすぐに帽子がない事に気付き、その顔を真っ青に染めた。
一点を見つめている私と一瞬だけ目を合わせ、もの凄い速さで帽子を掴み、頭に被る。
こんなに機敏な王海君、見た事ないです。
「王海君、大丈夫ー!?」
邪魔だとばかりに私を跳ね飛ばし、心配そうな声を出した女子達が王海君に駆け寄って来た。
しかし、対する王子の反応は。
「ウゼーんだよおせっかい共が! 近寄るな! 群れるな! 散れ!」
きっと女子達を睨み、起き上がる。
「はあーい!」
怒鳴られた女子達は、きゃあきゃあ嬉しそうにしてるけど。
さ、さすが毒舌王子。でもこの媚びない感じが、Mっ気のある女子に人気なんだけど……って、そんな事より!
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