【始まりは王子様の帽子から】

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我らが王子はハゲていた!! だからどんな季節でも帽子を取らなかったんだ!   砂利道に寝転がったまま困惑している私のもとに、王海君がとても怖い顔で近付いて来た。   目の前まで来た所で屈むと、私の胸ぐらを乱暴に掴み、   「このクソ女が……来い!」   そう凄んで強引に私を立たせた。   ひっひい、怖い!   「冴子ー!」   「羨ましーい! 私も王海君にシメられたーい!」   大輔の悲し気な叫びと、女子達の騒ぎ声を背に受けながら。私は王海君に腕を引かれ、裏庭の方へと連れて行かれるのだった。         ――――王海君にこんな秘密があったなんて……。   秘密を共有してしまった二人は、一体どうなるの?   『バレてしまっては仕方がない。冴子、結婚してくれ!』   『ええ!? そんな、私なんかじゃ』   『秘密を守る為じゃない。君がいいんだ!』       「――――おい」   「いや、駄目よ接吻なんて!」   「おいってば」   「まだ早いわ! 王海くーん!」   「おいって言ってんだよ、耳が付いてねーのか!」   はっ!   王海君の怒鳴り声で、我にかえった私。   つい、妄想しちゃってました……。
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