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だってだって、理由はどうあれ王海君と接する事ができるなんて。
キーンコーンカーンコーン……。
私の夢見心地を現実に引き戻したのは、学校中に響き渡る始業ベルの音だった。
やば、もうHR始まってるよ。
そう思いながらも、私の興味の矛先は完全に。授業よりも王海君の秘密だった。
裏庭は校舎が影を作っていて、あまり暑くない。いくつも設けられた花壇に囲まれ、私の手を離した王海君と、今は向かいあっている。
暫ししかめっ面で黙っていた彼は、気まずそうに口を開いた。
「み、み、見たか?」
見たか、って。アレしかないよね……。
「うっううん!? 見てない見てない! 大きな円なんて見てないよ!」
両手を振ってごまかしてはみたが、王海君は私の言葉にがっくりと肩を落とした。
「ちくしょう……哀れな目で見やがって! 笑いたければ笑えよ!」
「そ、そんな。……ふふ」
地面に両手を着いて嘆く王子様。意外な素顔が面白くって、私はつい笑いを漏らしてしまった。
「ま、まじで笑いやがったな! 俺がどれだけ必死にコレを隠して来たと」
「ごめんね、そうじゃなくって」
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