序章、パートナーは〇に乗って…。

5/22
前へ
/55ページ
次へ
またしても後ろに転倒したコウ。 さすがに、コウの怒りが頂点に達した。 「てめぇか!!マグロ飛ばした奴!!」 「そっちこそ!さっきから「めんどくさい」ばっかり言って! ここをどこだと思ってるのさ!! 正義の秘密結社「破魔」の本部だよ!!」 謎の人物はそう言って、コウの元から飛び退いた。コウは……、さっきの怒りは何処へやら。 一転、すごく呆れた顔でその人物を見ている。 「……お前、いろいろ間違ってるぞ? まず注意の仕方、手を出す前に口で言え。」 「手は出してないもん。 マグロと頭は出したけど。」 目の前の人物は、マグロの模型をぽんぽん叩きながらへ理屈。 「あと、正義の秘密結社って何だ!?「破魔」は思いっきり表に出てる組織で、全然秘密結社じゃないぞ!」 「え?だってかっこよくない?」 目茶苦茶な理由にますますコウが呆れる。 「大体「エクセレントコケティッシュ DE フラストレーション」って何だ!! 辞書で引いたら「素晴らしいなまめかしく色っぽい で 欲求不満」って出たぞ!」 「何かかっこいいから――って!? いつの間に調べたのさ!」 コウは、大きく溜め息をつき、ある事を言った。 「それに、お前みたいなガキのどこらへんがコケティッシュなんだよ!」 コウがそう言った瞬間 時が止まったように空気が凍て付く。 ……そして……、 ガスゥッと言う鈍い音と共に、コウにマグロ模型の一撃が炸裂した。 「ガキじゃないもん! 僕はこう見えて立派なレディ!! まぁ、君みたいなガキには、僕のパーフェクトスレンダーボディの美しさは分からないだろうけど!」 目の前の人物は、女の子だったらしい。 歳は見た目で言うとコウと同じくらい。 オレンジ色のベリーショートヘアと、平面な体型だったため、少年にも見えたのである。 …多分、彼女はその平面な体型の事を、「パーフェクトスレンダーボディ」と呼んでいるのであろう。 「あ、僕は用事があるから~。 それじゃあね!赤毛のおガキさん♪」 少女は、マグロの模型を担ぐと、 頭に一撃マグロを食らい、俯せになっているコウを残し、去っていった。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加