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またしても後ろに転倒したコウ。
さすがに、コウの怒りが頂点に達した。
「てめぇか!!マグロ飛ばした奴!!」
「そっちこそ!さっきから「めんどくさい」ばっかり言って!
ここをどこだと思ってるのさ!!
正義の秘密結社「破魔」の本部だよ!!」
謎の人物はそう言って、コウの元から飛び退いた。コウは……、さっきの怒りは何処へやら。
一転、すごく呆れた顔でその人物を見ている。
「……お前、いろいろ間違ってるぞ?
まず注意の仕方、手を出す前に口で言え。」
「手は出してないもん。
マグロと頭は出したけど。」
目の前の人物は、マグロの模型をぽんぽん叩きながらへ理屈。
「あと、正義の秘密結社って何だ!?「破魔」は思いっきり表に出てる組織で、全然秘密結社じゃないぞ!」
「え?だってかっこよくない?」
目茶苦茶な理由にますますコウが呆れる。
「大体「エクセレントコケティッシュ DE フラストレーション」って何だ!!
辞書で引いたら「素晴らしいなまめかしく色っぽい で 欲求不満」って出たぞ!」
「何かかっこいいから――って!?
いつの間に調べたのさ!」
コウは、大きく溜め息をつき、ある事を言った。
「それに、お前みたいなガキのどこらへんがコケティッシュなんだよ!」
コウがそう言った瞬間
時が止まったように空気が凍て付く。
……そして……、
ガスゥッと言う鈍い音と共に、コウにマグロ模型の一撃が炸裂した。
「ガキじゃないもん!
僕はこう見えて立派なレディ!!
まぁ、君みたいなガキには、僕のパーフェクトスレンダーボディの美しさは分からないだろうけど!」
目の前の人物は、女の子だったらしい。
歳は見た目で言うとコウと同じくらい。
オレンジ色のベリーショートヘアと、平面な体型だったため、少年にも見えたのである。
…多分、彼女はその平面な体型の事を、「パーフェクトスレンダーボディ」と呼んでいるのであろう。
「あ、僕は用事があるから~。
それじゃあね!赤毛のおガキさん♪」
少女は、マグロの模型を担ぐと、
頭に一撃マグロを食らい、俯せになっているコウを残し、去っていった。
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