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それはある晴れた日の事だった。
俺は照りつける日差しの中たった
独りで家の草むしりを
していたんだ。
「あ、あづい…」
まったくこんな猛暑日に我が子を
草むしりの奴隷に使うとは…
鬼ババめ。
「武ぃ!終わったら豆腐買ってきてねぇ!」
「………」
ただひたすら不満だ。
◆ ◆ ◆ ◆
俺は一通り草むしりを終えると
軍手を脱ぎタオルで汗を拭った。
「お袋ぉ!お金はぁ?」
「ガァァアァアア…グォ!」
「うぉ!?……お袋?」
「クカァアァアァ……」
「…………」
クカァアァア…じゃねぇよ!!
怪獣みたいな
いびきかきやがってぇ!!
あれか!俺に払えってか!
この鬼ババめ!
絶対、卒業したら
一人暮らししてやる!
そして俺は自分の安い財布を
手に商店街に向かった。
……………母は強し。
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