妄想に依存する女

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(あ…きた…!) ふと窓の外に目をやった時、1台の車が入ってくるのが視界に飛び込んだ。 場所は、私のパート先のとんかつ屋だ。 高まる胸を抑え平常心を保ちながら、ボタンひとつで1杯分のお茶が注がれる給茶器に湯呑みをセットする。 私が待ち望んでいた彼らは、慣れた手つきでのれんをくぐって店内へ。 ―いらっしゃいませ! 誰にもこの歓喜を気付かれないように、いつも通り接客用語を発した。
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