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「金庫に保管してください」
提案したのは衛藤だった。
過剰反応だと笑われた。
念には念をといい、反対を押し切った。
生徒による盗難を懸念したのではない。
追い込まれた生徒は何をするかわからない、そう噂されるのを恐れた。
衛藤の頭のなかは、六月に起こった不祥事で占められていた。
しかし皮肉にも、衛藤はテストを失ってしまった。
一枚の盗難を防ごうとして全ての解答用紙が盗まれたのだ。
「どうすんだよ」
吉田の声は興奮していた。
頭に錐を刺したような痛みが走る。
お前のせいだぞ。
そう云われた気がした。
携帯を叩きつけ、壁を蹴りたくなった。
やられた、最悪だ!
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