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衛藤はホールを通り過ぎた。
エレベーターは使わず、階段を使って三階まで上る。
三階の廊下にでると、トイレから老人が顔を覗かせていた。
こっちを凝視している。
老人の澱んだ目をみて、嫌悪感を覚えた。
まるで収容所じゃないか。
廊下の奥から、若いヘルパーがやってくる。
茶髪。
長身で痩せ型。
髪の毛を後ろで束ねヘッドホンをしている。
ヘルパーは菓子パンを片手に音楽にあわせ肩を弾ませていた。
どこか陽気だ。
牢屋に迷いこんだ季節外れの蝶を思い起こさせる。
衛藤はヘルパーを避けるように視線を切った。
ナンバープレートを確認し、ドアをノックする。
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