第一章

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衛藤はベッドにあったカーディガンを手にとると、母の肩にかけた。 死んだ鳥を埋めることもできずに、ただ立ち尽くす少年が自分なのだ。 ふと、そう思った。 そっと重ねた母の手がかさかさに乾いている。 小刻みに肩を揺らす母をみて衛藤は笑顔をむけた。 母の視線はドアへ注がれている。 「あれえ」 陽気な声が響く。 茶髪のヘルパーがシーツを抱えてやってきた。 「るみ子さん良かったね、息子さん来てくれたんだ」 そういうと茶髪は肩を弾ませ、シーツ交換を始めた。 ヘルパーは衛藤に会釈すると、顔にかかる髪の毛を掬いあげた。 その仕草が深夜のコンビニ店員のようにみえた。 スピードは速いが仕事が軽い。
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