第一章

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母がぶるっと身震いした。 顔を真っ赤にして表情を歪ませる。 今にも泣き出しそうな顔だった。 頬をわなわな震わせている。 「母さん、どうかした?」 直後に、ちょろちょろと水音が響く。 床に小さな水溜りができていた。 水溜りの輪は徐々に大きくなり、衛藤の足元まで広がった。 衛藤は後ずさる。 アンモニア臭がした。 ──失禁だ…… 母が漏らしていた。 失禁しながら恍惚の表情を浮べている。 か、母さん……? 衛藤はまるっきり放心状態になった。 目の前でおこったことが信じられない。
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