1.異世界

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いったい自分の身に何が起こったのか。 傍に先ほどの杉の木があったことが、私を唯一安心させるモノであった。 とりあえず、家に帰らなければ。 母さんたちが心配する。 私は立ち上がって、帰り道だと信じる方向に歩いていこうと思った。 その束の間、 「何……よ、ここ」 私は立ち止まり、驚きのあまりに声に思いを出してしまった。 ここは、私が住んでいる村ではない。 知らない道。 知らない植物。 知らない暗闇。 それを察した私の心臓が異常なほど早く動く。 それと同時に冷や汗も出てきた。 これは絶対に夢だ。覚めろ向日葵。 そう自分に言い聞かせることしか出来なかった。 今傍に信じるものはない。 途方に暮れていた私にさらい追い討ちをかけるように、声が聞こえた。 しかも生きているような声ではない。 人間ではないような声。 『汝、力、欲シイカ』 極限状態に追い込まれた心に冷静という文字は無い。 「誰!?」 私は声を荒げて焦りながら、辺りを見回した。
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