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ねぇ、こっち向いて?
今すぐ謝るから
買い物途中、小野くんとささいなことで喧嘩した。全部僕が悪いんだ
帰り道、小野くんと僕の距離は1m。近いはずなのに、ずっとずっと遠くにいる気がして…
大きく一歩歩けばすぐに届くのに、その一歩が怖くて踏み出せない
「ッ…………、ぉ……く……」
まだ怒っているんじゃないか
そう考えると怖くなって、嫌われるんじゃないかって考えて
呼び掛けることもできない……
「ご、めん……ごめんね、…」
「…………」
「僕が悪かったから……だからぁ……」
あれ、……
僕……泣いてる?
こんなに弱かったのかな、僕
「おのく………、ごめんね、…ごめんね……」
「ぁあ、もう!!」
小野くんのため息混じりの怒鳴り声が街中に響いた
だけどこっちは向いてくれない
やっぱり怒ってる……
「もういいから!!」
小野くんは立ち止まったままそう僕に怒鳴った
あぁ……嫌われちゃった……
「ごめ………ッ」
「ほら!!早く来ないと俺一人で帰っちゃいますよ?」
「……え、…?」
「もう怒ってないから。早くこっちおいで」
僕のほうを向かないまま、小野くんは僕がいるほうに左手を差し出して、軽く手を振った
「ほんとに……いいの?」
「怒ってない!!、このままこっちに来てくれないなら嫌いになっちゃうよ?」
やだ……
嫌いにならないで、
「だったら早く来る!!!」
「………うん………」
キミまであと1cm
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