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清麗騎士団1-序章-
「廣友(こうゆう)を頼んだよ・・・幸せにしておくれ・・・そして・・・・・」
その日の天気はよく覚えている。
夕日で真っ赤に染まった空は、雲一つなくて、ただただ赤色が広がっていた。
当時の自分は逢魔が時などという言葉は知らなかったが、その時がそうだったのかもしれない。
泣きじゃくる弟を前に声をあげて泣くことは躊躇われた。
この子を育てるのは自分だと思ったその瞬間から、持ち前の意地っ張りさを通り越して、弱さを見せて
はいけないとういう義務感が沸いた。
自分の両親が決して自分の前で弱音を吐かなかったから…
けれど、少しだけ・・・、空の赤さが目に痛かったのを言い訳に一滴の涙を流した。
一瞬すべてを怨んで壊れたい衝動にかられたけれど、耳に響く弟の泣き声が正気を呼び起こす。
「約束は守ります・・・母さん」
その約束を胸に俺は走り続けているんだ。
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