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椎名は、いつもの様に図書室で時間を潰していた。
仲がいい友人もいないし、教室にいてもつまらないからだ。
大抵は、図書室で興味がある本を読んだり、自習をする日々だった。
「椎名じゃないか」
よく通る声が聞こえ、椎名は小説から目を離した。
正面には、薄茶に染めた髪に白衣姿の教師が居た。
「先生じゃん」
相手が気心が知れた教師と分かると椎名は、少しだけ緩やかな表情になった。
「座っていいか?」
「どーぞ」
その若い教師は、椎名と向かい合わせになるかたちで椅子に座った。
歴史担当で最近、産休代理で赴任してきたばかりだが、人当たりがよく外見が若いからか生徒に人気がある。 教師の中でも唯一、椎名が好意的に思っている人物でもあった。
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