第一章一節 桜木力也

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  ―県立平窪高等学校―   地域でも有名な、不良学校である。 元々、この学校がある地区自体、不良が多い事で有名であるが、この学校は特にひどい。     そんな高校に通う一人の少年・1年1組の桜木力也(さくらぎ・りきや)。彼も不良ではないと言えば嘘になってしまうような格好をしているが、他の不良とは全く風格が違った。 それもそのはず。彼は他の不良達より遥かに喧嘩が強いという特徴があった。1年ながら、絡んでくる3年達を一人で全員ノしてしまう程強かった。     そんな彼が入学して最初の夏休みを終えてすぐの頃だった……       キーンコーンカーンコーン… 学校では、授業が終わって休み時間に入っていた。不良学校なので、授業中が休み時間ようなものだが…… クラス内は、1学期という約4ヵ月の期間を過ごしたこともあり、何組かのグループに分かれていた。4ヵ月も過ごせば、嫌いな人と好きな人というのがはっきり分かるようになる。これは不良学校だからではなく、普通の学校でもそうだろう。 そんな中、力也は休み時間、一人でPSPをやっていた。話が合う者はクラスにごく僅かいるものの、力也自身、他人と騒いだりするのは好きではなかった。 ガヤガヤ 不良学校の休み時間は、特にうるさい。 力也{………ったく…………もう少し静かにはできねぇのかよ…} 力也がPSPをやりながら思っていた。力也の性格なので、ワイヤレス通信などは絶対にせず、いつも一人でゲームをしていた。 女子「りっきや~!」 そんな人嫌いの力也を、廊下から大声で呼ぶ女子がいた。 力也{チッ…………こっちもこっちでうるせぇなぁ…} ガタ… 力也は渋々立ち上がり、その女子の方へと向かった。
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