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アタシたちは毎年四人でお祭りの出店を回ったり、催し物に参加したりと楽しむ。
この四人に時々誰かの彼女や彼氏が加わることもあったけれど、今年は四人だけ。
でも、それで良かったとも思う。
来年の夏祭りには、このメンバーが揃うとは限らない。
家業を継ぐトキヒトは地元に居るとして、大学に合格したらこの町を出ることになるカズヤ。
アキコも、働きながら学校に通うと言っていたから、町を離れるだろう。
そして、アタシは。
アタシは来年の今頃、どこで何をしているのだろう?
アキコと並んで歩きながら、歩道脇から小さな石を前に蹴飛ばす。
そしてその小石を歩く度に蹴り続け、待ち合わせ場所に小石もたどり着けたなら、アタシはこの町から出ていくことができる。
という勝手な願掛けをして、アキコの話を聞き流しながら、アタシは黙々と歩き続けた。
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