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もう、どうでもよかった。吸血鬼がニ晩立て続けに人間の生き血をたっぷり吸ったその呪うべき場所から、
できるだけ遠くへ逃れさえすればと、彼はまっすぐに駆けた…
古参兵は必死で駆けに駆けるうちに、いつのまにか、墓地の墓石の間に出ていた。
その時、
まったく思いがけなく、誰のものとも知れない声が聞こえた。
「何処へ駆けて行きなさる、何をそんなに怯えてなさるんだね?」
目が慣れると、古参兵の目の前に長い髭をたくわえた白髪の老人が立っていた
その顔は親しみ深く、優しさに溢れていた…
彼は、ほっと胸を撫で下ろし、その老人にまるで告解のように一部始終を物語った。
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