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あるところに、どうしても子宝の授からない王様がいた。
王様は、神の恩恵にも人の情けにも恵まれていなかったらしい。国民は王の亡き後、
国を治める者がいないのを不満に思い、ぶつぶつ言いはじめた。
中には、お妃に不貞の疑いをかける者さえいた。よく言うように、
”踏み荒らされた径(みち)にだけは草も生えない”
というわけだった。
何年もたって、ようやくお妃は身ごもった。
しかし、待てど暮らせどお妃にお産の時がこないので王様は落胆のあまり、つい大声をあげてしまった…
― そんなことは決して、してはならないことだったのに ―…
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