2/23
前へ
/24ページ
次へ
あるところに、どうしても子宝の授からない王様がいた。 王様は、神の恩恵にも人の情けにも恵まれていなかったらしい。国民は王の亡き後、 国を治める者がいないのを不満に思い、ぶつぶつ言いはじめた。 中には、お妃に不貞の疑いをかける者さえいた。よく言うように、 ”踏み荒らされた径(みち)にだけは草も生えない” というわけだった。 何年もたって、ようやくお妃は身ごもった。 しかし、待てど暮らせどお妃にお産の時がこないので王様は落胆のあまり、つい大声をあげてしまった… ― そんなことは決して、してはならないことだったのに ―… .
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加