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あくる朝早く、王様と廷臣達は大聖堂での出来事を知ってびっくり仰天した。
それでもやはり、もう一度士官の見張りが立てられ、こうしてもう一人の若者も…
-無惨な死を遂げた -…
それを聞いて、皆、すっかり怖じけづき
士官も兵卒も誰一人として逃れたい死に赴くことに同意しなかった…
中には、王女は吸血鬼か夜の精だから、その首を切り落として懐に入れ、体をうつ伏せにして墓地に葬るのが一番いい…
そうすれば、王女はきっと皆を脅かすことを止めるだろう…
と言う者もいた。
だが、王様は…
死ぬ前に娘に約束したことだけは守りたいと言い張った。
そこで、全軍を招集し、黒い王女を救ってくれた者には
”それがどんなものであれど、その願いを叶えよう…”
と宣言した。
だが、それでも、命を捨ててまで大聖堂に行き、見張りに立とうとする勇者は中々、現れなかった…
やっとのことで、一人の古参兵が進み出た。古参兵は七年間王様に仕えてきたが、誰からも、その存在価値を認められることはなかった…
また、古参兵は、かつて一度も告解に行ったこともなかったし、神も悪魔も信じていなかった。
この世の何にまして、酒を愛し、いつも有り金を全部はたいて酒を飲むのだった…
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