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そこで、古参兵は隊列から進み出て、この恐るべき夜のために
なるべく多くの酒と美味しい肴(さかな)をくださるのならば、神に呪われた見張りに行ってもよい…と申し出たのである。
そこで、この古参兵の前に一壜(びん)の酒が用意された
だが、古参兵は自分のような鉄の喉には三本あっても足りないと主張した…。
残らず受け取ると、古参兵は見張りに向かった。上官達が敬礼して、この兵を送り出した。
皆は、その兵が生きて帰れまいと思っていたのである…
古参兵は大聖堂の扉を開け、小礼拝堂の中に入るや…
真っ先に酒壜に口づけした。一口、二口と飲んだが勇気は湧いてこなかった。小礼拝堂の中は暗くて不気味だった。
一つの窓にだけ月の光が差し込み、壁には不安げに光の斑点が震えていた
耳鳴りがするほど静まり返っていたが、今にも悪魔の教唆が始まり、吸血鬼がざわめきと共に柩の蓋を開くかと思われた。
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