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光が収まり、うっすらと目をあける少女、
円陣はうっすらと、おぼろげに紅い光をともすだけとなり、状況を確認するため、少女は周りを見渡そうと、した。
しかし、それは出来なかった、
なぜなら、発光の収まった円陣の中心からずれた位置、少女の目の前に薄い三日月の放つ月光を浴びながら立つ、人物がいたからだ。
その人物は、白磁のように白い肌、少女より幾分か年上を感じさせる身長、流れるような肢体、黄金色をした瞳をはめ込まれた少女、 しかし、円陣の中心にヘタレこんでいる少女の視線を集中させたのは、はっきりとした黄金色の瞳でもなく、白磁のような肌でもなく、完成された未熟な美、それですらない。
今まで、少女の見たことのある人は少ない。
だが、世界を見れば様々な人種がいることを少女は理解している。
しかし、これほどまではっきりとヒトとは違う、と認識できるモノは初めて見たのだろう。
ヒトには様々な特徴がある、円陣の中心でへたり込んでいる少女の眼前に立つ少女は圧倒的に存在そのものが違う、何故なら。
眼前に立つ少女の髪が月光を浴びて輝くように反射する純白だからだ。
黒や金、茶など色が混じることのない完全な白。
染めたわけではなく、腰ほどまである白い髪はある種神聖さを持っている。
ヒトがいくら髪を白く染めても完成することのない完全な白がそこにあった。
じっと円陣の中心にいる少女はじっと前に立つ少女の白い髪を見ている。
すると、白髪の少女はぷっくりとした健康的な唇を動かし言葉を紡ぐ。
「――、――。―――――?」
何を言っているのか少女には理解できなかった、何語? という冷静な思考が入るが少女の知るどの言葉でもなかった。
白髪の少女は言葉が通じていないことに気が付いていないのか、相手が理解してないと取ったのか、身振り手振りでなにかを必死で伝えようとしている。
余りに必死なその姿を見て少女はくすりと笑った。
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